* 大晦日   天真→友雅




「あけましておめでとう。今年もよろしく」

お決まりの文句を言ったが、相手は驚いた顔でこちらを見ていた。
いつもと違うその顔が見れて、ちょっと嬉しいとかはいわねぇけど。

「…ふふ。どうかしたのかな?」

くっ、と口に指を添えて友雅が笑った。
うっかり見とれそうになる。
でもそれじゃ今日はダメなんだ。今日はオレは目標を掲げてきたから。

「新年の挨拶に来たんだ。おめでとう」

ふと目を細めて相手が探るような目をする。
こいつは。本当に。

「まだ年は明けてないような気がするけれどね」

チラ、 と外に目線をやったから追ってみる。
綺麗に整えられている庭の上、まだ12月31日の夕焼けが広がっている。
こいつの好きな月もまだ姿、現していない。

「知ってる。けど誰より最初にアンタに言いたいから」
「ふうん。お前にしては可愛い事を言うね」

カラカラと楽しそうに友雅が目を細める。
だから、その顔が。ずるいんだって。

「それで?他に用事は?」
「アンタ、今日用事何かあるの?」
「いや。特別にはないけれど」
「よし。俺、ここに泊まるから。よろしく。で、一緒に年越すから」

そんで一番にあんたに今年もよろしく、って言う。

そう言ったら、また最初の驚いた表情を見せた。
その顔はどういう意味なんだ?
んとに。わかんねえ。

けど

最初の頃には見せなかった時折みせる素の笑顔とか、
予想外に幼い表情見せるときとか、

それって多分俺だけの前でだろ。


だから来年もよろしく。
アンタが嫌がっても、離れる気はないからな。




「ところで帰れと言ったら帰るのかい?」
「いや。帰らない。夜這いでも何でもしてやる」
「…やれやれ」


そういいながらも少し嬉しそうなの、俺知ってるから。
来年ももっと見せて。アンタの色んな表情を。





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